African Column

アフリカ文学はどれくらい読まれている?

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みなさん、こんにちは!今回も気軽に読める話題です〜。

 

みなさんはアフリカと文学の関連について考えたことはありますか?

考えたことがない、あるいはアフリカの文学作品なんて知らないっていう方のほうが多いのではないでしょうか。

でも、実は、アフリカを知る上で文学はとても重要なんです。

例えば、グリオの歌などの口承文学は、アフリカ文化・歴史において非常に重要な位置を占めていますし、また、20世紀前半には、抑圧された黒人の文化の地位を高めるために、フランスの植民地であった西アフリカや中米の人々によってネグリチュード運動という文学運動が起こりました。このネグリチュード運動の中心人物であった詩人サンゴールは、西アフリカのセネガル共和国の初代大統領にもなっています。

さらに、特に19・20世紀のヨーロッパ人作家によって、アフリカはある文学的テーマを表現するために作品舞台として使われていました。(気になる方は、『アフリカ―文学的イメージ』という本をちらっと読んでみてください)

 

さて、世界ではどれくらいアフリカ人作家の作品が読まれているのでしょうか?

また、アフリカの中でもどの国・どの地域の作家の作品が読まれているのでしょうか?

先日、パリを拠点とするJeune Afriqueという週刊誌のWebサイトに「フランスで2015年にもっともよく売れたアフリカ人の文学作品はなにか」という記事が出ていたので、少し紹介してみたいと思います。

 

記事によると、サブサハラ以南の国の作家よりも北アフリカのマグレブ系作家の方が、昨年は売り上げが大きかったようです。フランスは歴史的・経済的背景から、20世紀後半の高度経済成長期にマグレブ系移民を大量に受け入れていることもあり、身近なのかもしれないですね。また、最近のISなどの情勢もあるので、イスラム圏の作品に注目が集まっているのかもしれません。

この記事では、Livre-Hebdoという週刊誌に載っていた2015年の売り上げTop100に入っているアフリカ人作家の作品を取り上げています。

その中で最も売れていた作品は、アルジェリア人のKamel Daoudの『Meursault, contre-enquête(ムルソー、再検証)』(第15位)です。

Meursault,contre-enquete

(Amazon.frから)

 

ムルソーという名前にピンときた方、いますよね?そうです、このムルソーという名前は、フランスの代表的な作家の一人、アルベール・カミュの『異邦人』の主人公の名前です!

この作品では、『異邦人』の中のムルソーによる殺人の被害者である名もなきアラブ人に名前がつけられ、その兄の視点で物語が進んでいきます。いわば、この作品は『異邦人』に対する挑戦なのです。

 

もちろん、日本でもアフリカ人作家の作品は読むことができます。

個人的にオススメしたいのは次の3冊です!

 

『崩れゆく絆』チヌア・アチェベ(ナイジェリア)

ナイジェリアのイボ族の男を主人公として、その土地が徐々にヨーロッパ人によって植民地化されていく過程が描かれています。イボ族の民話や歌をモチーフとしている非常に読み応えのある作品です。著者は「アフリカ文学の父」と呼ばれています。

 

『ボンバの哀れなキリスト』モンゴ・ベティ(カメルーン)

1930年代のカメルーンを舞台に、植民地支配を補完する白人宣教師とそこに生きるカメルーン人を描いています。この作品は当時発禁処分になったほど衝撃的だったそうです。

 

『恥辱』ジョン・クッツェー(南アフリカ)

アパルトヘイト以後の南アフリカ社会を舞台に、人生の絶頂期から徐々に落ちていく主人公デヴィッド・ラウリーの人生が描かれています。アフリカが舞台となっていますが、死・老い・動物愛護・親子関係・性など、さまざまな角度から読める作品です。著者はこの作品でブッカー賞を受賞しています。

 

もし興味が湧きましたら、ぜひ読んでみてください!

 

<参考文献・サイト>

Jeune Afrique:「France – Livres : quelles sont les meilleures ventes africaines en 2015 ?

Kamel Daoud, «  Meursault, contre-enquête », Acte de Sud

マーティン・タッカー, 『アフリカ―文学的イメージ』, 彩流社

チヌア・アチェベ, 『崩れゆく絆』, 光文社

モンゴ・ベティ, 『ボンバの哀れなキリスト』, 現代企画室

ジョン・クッツェー, 『恥辱』, 早川書房

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