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2017/12/3 政治班勉強会 前半

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こんにちは! 政治班の小池です。
早いものでもう12月ですね。朝の冷えた空気がコートのポケットに入れた手にまで入り込むようになってきました。

さて,今日は先週12/3に駒場で行われた政治班の発表について紹介いたします。少し長くなってしまいましたので,前編と後編に分けてお送りします。
実はこの日は文化班の発表もありまして,合計5時間超にわたる少しタフな勉強会となったのですが,その分深く議論を掘り下げることができたのかなと思います。今回政治班ではタンザニアとエチオピアについて独自の視点から興味のあるトピックについて調べて発表したのですが,ここでは私の発表内容について,質疑応答のときに深まった議論とともに紹介します。

では,内容に入っていきましょう!

<タンザニアにおける現在の政党政治>
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このスライドから始めることにしました。何の数字だかわかりますか?
1年間のうち学校に行かないといけ…ではなくて,2017年現在,タンザニアで与党が国民議会に占める割合を表しています。こうして見ると,かなり多いように思われますが,実は少し前まではもっと多かったことがわかります。

タンザニア国民議会における議席数の推移

タンザニア国民議会における議席数の推移

ここで,CCMというのが例の第一党で,1977年の設立以来第一党を保守してきました。CHADEMAとCUFは1992年にタンザニアが複数政党制を採用してから設立された政党で,ともに最有力野党となっています。

さて,こうして見ると第一党CCMが圧倒的に議席を獲得してきたことがよく見て取れますね。実は,これには政党と国家の癒着という現象が深く関わっています。これはタンザニアの政党政治を語る上でのキーワードといえるでしょう。これについて,詳しく見ていきます。

<第一党CCMと国家の癒着>

ここでは政党と国家が癒着していることを示す実例と,その原因について紹介します。

・癒着の実例
[例1]
選挙は大統領が指名する団体が管理して行われるが,その指定の対象はすべての利害関係者が含まれているわけではないうえに,指名の過程は公表されない。
[例2]
1994年Kigomaという地方における補欠選挙の際に,政府は突如現地の道路の改修工事を開始して雇用を生み出した。これは実際に選挙で与党のCCMに有利に作用したという判決が後に控訴院で下される。道路というのは国家の所有物であり,それを利用して自分の党が選挙で有利になるよう仕向けるというのはおかしいはず。
[例3]
2000年にTakurima Law なる法律が施行された。これは,アフリカ固有のおもてなしとしての親切行為ならいかなるものであっても施しとはみなされない,とする法律。つまり,買収が議会で正当化されたということ。実際に2005年の選挙ではTシャツ,カンガ(ザ・アフリカの衣装といった感じの服などに使われる一枚布),帽子などをCCMは配布し,特に地方では大きな影響力を及ぼしたと言われている。こういった買収は経済力のある政党しかできないが,この法律が5年間も司法を経て直されずにいたというのは国家とCCMが癒着しているためとも言えるであろう。

・癒着の原因
CCMが単独で大多数の議席を占めていることが全ての発端といえるでしょう。この状況を改善する,すなわちCHADEMAやCUFといった野党が影響力を高めてより多くの議席を獲得できるようになれば,議会を通じて現状を打破できるはずです。
そこで,政党制度化理論(Party System Institutionalization)という考えを取り上げます。

<政党制度化理論(PSI)とは何か>
これは,社会や政治という背景から,具体的には人間社会との関わりや法的枠組みといった観点から,政党という組織を掘り下げて見てみようという考え方で,近年アフリカ政治研究では注目されている研究テーマのひとつです。なんだか複雑そうに聞こえるかもしれませんが,「組織化・制度化の度合いが高まるほど,政党が社会や政治にもたらす影響力は大きくなる』という前提のもと進められる議論だと紹介するとわかりやすいのではないでしょうか。

私はこれについての論文を読んで,制度化を進めることで団体としての方向性とかが明確になった結果影響力が増すということはある程度はあるのかもしれないな,と思いました。でも,具体的にどう制度化をしていけば良いのかにまで触れられた論文はそう多くありません。そんな中,制度化のモデルを構築してアフリカの28の政党を対象に指標を算出した論文があったので紹介します。ずばり,結果は以下の通りです。

タンザニアの各政党についての制度化の指標(Basedau, M., & Stroh, A. (2008)より)

タンザニアの各政党についての制度化の指標(Basedau, M., & Stroh, A. (2008)より)

CCMが大差でCHADEMAやCUFに勝っていますね。2倍以上の開きです。この表を見ると,全体のスコアを高めるためには社会に地盤を持つことや自治性を高めること,団体を細分化することなどをして各項目における得点を高めれば良いかのように感じられることと思います。でもここには実は落とし穴があります。これについて,後編で各項目の評価基準を明らかにしながら説明していきますね。

 

<参考文献>
・Raphael, C. (2010). Political party institutionalisation in Tanzania: a state project? (Doctoral dissertation, University of Dar es salaam).
・Basedau, M., & Stroh, A. (2008). Measuring party institutionalization in developing countries: A new research instrument applied to 28 African political parties.
・外務省 (2016). 「タンザニア連合共和国(United Republic of Tanzania)基礎データ」http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/tanzania/data.html (閲覧日:2017/12/01)
・Morse, Y. L. (2014). Party matters: the institutional origins of competitive hegemony in Tanzania. Democratization, 21(4), 655-677.
・Sanches, E. R. (2014). Explaining party system institutionalization in Africa: from a broad comparison to a focus on Mozambique and Zambia.
・織完. (1971). 日本における政党の制度化–神奈川県会議員に関する事例研究 (現代日本における政治態度の形成と構造). 日本政治学会年報政治学, (1970), 68-90.

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