2017/11/11 開発班勉強会 後半

こんにちは!
前回に引き続き、開発班の勉強会の後半の内容について、紹介していきます。

・SDGsを実現するための具体例・・・農業分野

自分は今回SDGsを実現するための具体例として、農業についての事例を調べることになりました。

農業開発の目的は大きく分けて、食料増産、経済成長、多面的機能の3つがあります。これらを達成することで、SDGs目標の項目1、2、9、15に繋がっていく、という流れです。

そして自分は農業の事例の中でもJICAに絞って、またその事例でも「ザンビアでの灌漑開発」、「ケニアでの蚕研究基盤構築」、「セネガルでの天水稲作支援」に絞って調べました。

ケニア国立蚕糸研究センターでのカイコ飼育の様子

ケニア国立蚕糸研究センターでのカイコ飼育の様子

これらの調査を通して自分が思ったことを述べたいと思います。

農業開発というのは結果が出るまでとても時間がかかります。その理由としては
①気候・風土の影響を受けやすいこと
②生産にそもそも時間がかかること
③新技術に対して現地の人々が懐疑的であるということ
があげられます。
結果が出るまでに時間がかかると、GDPの多くを農業が占め、性急に結果を求めがちな途上国のニーズとの間に溝が生まれてしまうことがあります。

例えば、「ザンビアの灌漑開発」では、まずその土地の性格を知るために竹や木などで作られる簡易堰を設置し、その簡易堰の効果が認められたらそれをコンクリートなどで強化して恒久堰にしていく、という手順をとっていましたが、ザンビア政府から手早く恒久堰だけを作ってくれ、という要請がありました。

ザンビアの簡易堰 現地で調達可能なもので作られている

ザンビアの簡易堰 現地で調達可能なもので作られている

これらの、途上国のニーズと開発提供側のプランの溝をどう埋めていくか。
自分は、この問題を解決するには丁寧な説明をして、向こう側に納得してもらうことが大切である、と考えました。当たり前だと言われればそれまでなのですが、結局はそこに立ち戻ってくるような気がします。

「ザンビアの潅漑開発」の話に戻りますが、ザンビアでは簡易堰をその目で見た現地民が効果を実感し、その必要性が認められる方向へと進んでいます。

また、「セネガルでの天水稲作支援」では現地に展示圃場を設け、そこで推奨品種を栽培、その実態を知ってもらうことによって普及を目指しています。

このように、一つ一つ丁寧にプロセスを踏むことで対象国の納得を得ることができ、開発をスムーズに、そして最終的にSDGs目標実現へと繋がっていく、自分はこの勉強会を通じてそう考えました。

・SDGsを実現するための具体例・・・健康分野

次に、SDGsの具体として、健康分野を紹介します。

 SDGsの健康分野においては、MDGsの健康分野に比べて目標の対象が増え、より広範な範囲の健康分野の改善を目指すものになりました。

その中で重要な理念として掲げられているのが、UHC(ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ)と呼ばれる考えです。UHCは、すべての人々が平等に安価で医療を受けることができることを目指すものであり、卑近な例でいうと、日本政府が伊勢志摩サミットで初めて国際会議での議題として取り上げたほか、JICAでも重要4課題の一つに挙げられています。

そして、もう一つの理念として掲げられているのがエコヘルスの考えです。エコヘルスは、大気汚染や蚊の大量発生といった感染症などの原因となりうるものの改善を図ることによって、副次的に健康分野での感染拡大も防ごうというものです。近年環境問題がより重視される中で、エコヘルスの分野へは国際社会の大きな注目が集まっています。

 では、アフリカで行われている実際の健康分野での実例を見てみましょう。まず挙げられるのがドローンの利用です。ドローンは軍事的な利用を恐れてか多くの国で規制されるケースも多かったのですが、輸血用血液や医薬品をどこへでも運搬するのに用いることができることから、近年では規制が緩和されるケースも多くなってきています。

物資を運ぶドローン

物資を運ぶドローン

次に挙げられるのが、携帯電話を利用したmSOSシステムです。これは携帯電話のSMSサービスを利用することによって、ある地域で伝染病が発生した場合に、地方政府や中央政府に情報を伝達、即時に対応に当たるというものです。これらは、SDGsの健康分野で重視されるUHCの考えに沿ったものになっています。

・ディスカッション

ディスカッションでは、初等教育の修了率を上げるためにはどうすればよいかを、回帰分析という手法を使って議論しました。初・中等教育の修了は、SDGsの教育に関するターゲットの中でも、特に重視されています。

回帰分析は、政策が目標の達成に役立つかを、データを用いて検証する手法であるため、SDGsの実現に対して実効性のある政策を考えるプロセスを体験することを目指しました。回帰分析の結果、政府の有効性の向上やGDPの上昇は意味があるが、児童労働や男女差別の解消はあまり意味がないという意外な結果が出ました。

実効性のある政策の実施と、本質的な社会問題の解決の間のジレンマを、体感することができたのではないかと思います。

いかがでしたでしょうか。

今回の勉強会では、残念ながら現時点ではあまり知られていないこの目標について、深く学ぶことができました。大きな力を以てこの目標に関わることは、まだ私たち学生にはできないかもしれません。それでも、今回をきっかけに目標達成に向けて何かしらの働きかけができたら、と思います。

長くなってしまいましたが、
最後までお読みいただきありがとうございました。

参考文献
日本国際地域開発学会編(2016)『国際地域開発の新たな展開 』筑波書房
独立行政法人国際協力機構(発行年不明)”ODA見える化サイト”
〈https://www.jica.go.jp/oda/index.html〉
2017.11.6アクセス
国立研究開発法人科学技術振興機構(発行年不明)”カイコとシルクを知り尽くした日本による東アフリカの養蚕革命”
〈https://www.jst.go.jp/global/kadai/h2707_kenya.html〉
2017.11.8アクセス
独立行政法人国際機構(2011)「課題別方針」
〈http://gwweb.jica.go.jp/km/FSubject1201.nsf/ff4eb182720efa0f49256bc20018fd25/f69607cc6b7a99cf492579d40029128c/$FILE/課題別指針「農業開発・農村開発」(H23).pdf〉
2017.11.9アクセス
独立行政法人国際機構 農村開発部(2013)「JICA農業・農村開発に関するポジションペーパー」
〈http://gwweb.jica.go.jp/km/FSubject1201.nsf/ff4eb182720efa0f49256bc20018fd25/5f660159a9c0b19b49257b510007f3ea/$FILE/position_paper_jp.pdf〉
2017.11.9アクセス
池上清子他「第30回日本国際保健医療学会学術大会シンポジウム
持続可能な開発目標(SDGs)を考える ー保健と環境の視点からー」、
『Journal of international health』 Vol.31 No.2、国際保健医療、2016年
JICA「Universal Health Coverage(UHC) in Africa」
https://www.jica.go.jp/press/2016/ku57pq00001ufjon-att/20160830_09_j.pdf
(2017/10/29閲覧)
John Maurice「Measuring towards the SDGs—a new vital science」、
『The Lancet 』Vol.388 No.10053 p1455-1458、2016
門司和彦「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジとエコヘルス」、
『日本医事新報 No.4701』、日本医事新報社、2014年
The World Bank「持続可能な開発目標(SDGs)と世界銀行グループ:ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ」
http://www.worldbank.org/ja/country/japan/brief/sdgs
(2017/10/29閲覧)

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